算数はよくできたのに中学数学ができなくなる理由
算数は個、人、匹、m、㎡、㎥、度といった単位のついた事例で加減乗除をはじめとする理屈を教えます。そして、その思考過程は + 、-、×、÷、= などの記号を使って表します。
記号で表す概念に「合わせる」「つぎたす」「ふえる」「順番がふえる」といったいくつかの異なった概念を同じ記号で表すところでつまずく子もいます。
ここを上手く超えた子も中学数学になったとたんにできなくなる子がいます。これはいきなり正負の数で概念が広がり、更に単位がなくなって抽象的に考える場面が多くなるからだと思われます。それを越えても定数をa、b で表したり、変数を x、y で表しそれを等号で結んで関数式をつくる場面に遭遇して、ついにイメージできなくなる子もいるようです。
これは算数が静止画を2枚ならべてその変化の理屈に気づくのに対して関数では動画の連続した変化からそれを貫く理屈に気づくかどうかということだと思われます。
ただ、和差算を1次方程式で解き、つるかめ算を連立方程式で解くといった場合や比例の関係を一次方程式で表し、面積を2次方程式で表すといったように算数と数学は内容的にはさほど変わらないので、アナログとデジタルの視点の違いをじっくり教えればほとんどの子は数学ができるようになると思います。
この点に関してはかつて「あなたにも解ける東大数学」(ディスカヴァー・トゥエンティワン) で詳しく述べました。
しかし、中学数学と高校数学では同じ数学でも内容が根本的に違います。このことについては次回お話することにしましょう。